薬局症例#1-2 検討編 咳止め服用後に気分が悪くなった女性
Q1:咳止めは服用継続?
Q2:今回の処方に問題点はないか?
プロブレムリスト
#1.咳止めは継続した方がよいか
#2. 感染症の可能性
#4. デキストロメトルファンによるセロトニン症候群の可能性
#5. CYP2D6のpoormetabolizer(PM)の可能性
#6. パロキセチンはこのまま服用でよいか
#7. セロトニン症候群であればメトクロプラミドは症状を悪化させる可能性あり
【追加質問】
薬剤師「咳はもう全く出ていませんか?」
患者「はい。昨日薬を飲んでから全く出ていません。」
薬剤師「周りに同じような症状の方はいますか?」
患者「いません」
薬剤師「最近、旅行をしたり、動物に触れたりとかはないですか?」
患者「ありません」
薬剤師「咳が出た日にストレスを感じたり、運動をした時に咳が出ませんでしたか?」
患者「昨日の朝、母と喧嘩しました。その日の昼に運動をしたら咳が出て、苦しくなり学校を早退しました。」
薬剤師「今の症状は、いつ頃から出ましたか?」
患者「昨日薬を飲んでから、なんとなく気分が悪くなった気がします」
薬剤師「急な吐き気や嘔吐はありませんでしたか?」
患者「なんとなく気分が悪くなり、吐き気もしてきた感じなので、急ではありません。嘔吐もありません。」
薬剤師「現在は嘔気とめまいと発熱だけで他にはありませんか?腹痛とか下痢とか痺れとか」
患者「思いつきません...なんだかすごく不安です。」
薬剤師「何かこれをすると楽になるとか、悪くなるとかありませんか?時間帯で症状の強さはどうですか?」
患者「特に何かするとというのは思いつきませんが、今朝は少し楽になりましたが、薬を服用してからきつくなった気がします。」
薬剤師「妊娠の可能性はありませんか」
患者「病院で調べましたが、妊娠はありません」
薬剤師「パニック障害の薬を服用してから似たような症状はありませんでしたか?」
患者「ありません」
【検討】
咳の症状はもうなくストレスから咳が出現していた所からVCDにより咳が出ていた可能性あり。嘔気、発熱の症状も感染症より薬剤性の可能性が高いように思えた。家族歴からCYP2D6のPMである可能性が考えられる。今回パロキセチンを14日前から服用開始しており、パロキセチンがCYP2D6の阻害薬として働き、デキストロメトルファンの血中濃度が上昇しセロトニン症候群を発症した可能性が考えられる。また今回処方のメトクロプラミドもセロトニン症候群を起こす可能性があるので、他剤に変更した方が良いと思われる。