薬剤師おきたの薬剤師のやりがいや可能性を考える日記

このブログでは薬剤師のやりがいや可能性に繋がる記事を挙げていければと思っています。※ここで扱う症例は架空のものです。

薬局症例#2-3 解答編 持続する頭痛を訴える高齢女性

【 目次 】

 


89314okita.hatenadiary.jp

 

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【 再質問 】

上肢Barre兆候問題なし。

薬剤師「薬局に知らせていない薬はないですか?一回使用しただけでも。もしくは市販の薬とか家庭や旦那さんが使用している農薬とか」

患者「いや、ないよ」

薬剤師「視覚障害についてお聞きしたいのですが、黒いカーテンが降りてくるような感じではありませんでしたか?」

患者「そうそう、まさにそんな感じだった。」

薬剤師(一過性の黒内障発作のようだ)

薬剤師「物が二重に見えたり、霧がかかったようにぼやけていませんか?」

患者「ないです」

(巨細胞性動脈炎でも複視や霧視はよくみられる症状だが今回はなし)

薬剤師「顎の痛みは持続していますか?」

患者「食事をしていると、だんだんと顎が痛くなり、力が入らなくなるし、味も分からなくなる。特に冷たいものを飲むと直ぐに味が分からなくなるし、動かしづらくなる」

(下顎跛行あり。極めて稀だが舌のレイノー症状も出ている。)

 

 

一年前の原因不明の既往をPMRだとすれば、高齢者の側頭部持続痛、拍動性の痛み、髪をすく時に痛む、美容院で指摘された発赤、一過性の黒内障発作、下顎跛行、舌のレイノー症状とすべてが一元的に巨細胞性動脈炎で説明出来る。

 

 

【 結論 】

やはり

巨細胞性動脈炎(GCA

が最も疑わしいと考えた。

 

治療はステロイドで行う。

ステロイドの量は状態によって異なるので、血管炎症候群の診療ガイドラインを参照して下さい。

 

【 対応 】

巨細胞性動脈炎は失明のリスクがあるので速やかに治療を行う必要がある。主治医かリウマチ膠原病内科にすぐ診てもらえるよう手配する。

 

【 Point 】

  • 高齢女性の肩や四肢近位部の痛み、倦怠感、体重減少という訴えはPMR(リウマチ性多発筋痛症)を疑える。抑うつ症状や起き上がれないや寝返りが打てないという訴えもよくあるようです)
  • PMRとGCAは合併しやすい(PMRの10~20%でGCAを合併し、GCAの40~60%にPMRを合併する)
  • 高齢女性の持続する拍動性の側頭部痛、視覚障害(複視や霧視)、一過性の黒内障発作、下顎跛行、舌のレイノー症状、PMRの既往などはGCAを疑える
  • GCAは失明する可能性があるので、速やかに治療が必要