症例2で医師国家試験を解く
ちなみに症例2がわかるようになると医師国家試験が解けるようになります。
誤解のないように先に申し上げておくと、薬剤師がミニドクターになることを望んでこのブログを書いているわけではありません。薬剤師の軸足は薬学にあるべきです。ですが、臨床推論や病態の学びが疎かだと医師の考えが分からないまま薬の副作用のことばかりを訴えてしまいます。臨床推論のスキルは医師にはもちろん患者に納得してもらう為の知識やスキルとなると信じています。
医師国試過去問
81歳の女性。
2ヵ月前に頭痛と頸部から上腕にかけての
筋痛とが出現し、体重が3kg減少した。
精密検査を希望して来院した。
家族の話では最近元気がなく、
朝起きるのが困難なようであるという。
右側の浅側頭動脈は索状に触知し、圧痛を伴う。
右側頸部に血管雑音を聴取する。抗核抗体陰性。
この疾患について正しいのはどれか。3つ選べ。
a 視力障害をきたす。
b リウマトイド因子は強陽性を示す。
c 赤沈は促進しない。
d 生検で巨細胞性動脈炎を認める。
e 副腎皮質ステロイド薬が有効である。
答えade
「81歳の女性。
2ヵ月前に頭痛と頸部から上腕にかけての
筋痛とが出現し、体重が3kg減少した。」
「家族の話では最近元気がなく、
朝起きるのが困難なようであるという。」
これらはPMRを連想させます。
「右側の浅側頭動脈は索状に触知し、圧痛を伴う。
右側頸部に血管雑音を聴取する。」
これらは巨細胞性動脈炎を連想させます。
○a 視力障害は本疾患の典型的症候である。
×b リウマトイド因子は陽性とはならない。
×c 赤沈、CRPなどの炎症反応は陽性となる。
○d 生検では巨細胞の浸潤を伴う肉芽腫の形成を認める。
○e 治療はPSL30~60mg/日より開始し、翌日~1週間以内に寛解する。再燃する可能性があり、1年以上にわたって漸減する。