薬局症例#4-1 問題編 DPP4阻害薬の副作用を疑い服用拒否を訴える男性
「薬の副作用ではないか?服用をやめていいか?」
【主訴】
両手のこわばり、掌握運動時の手指関節の痛み、四肢の圧痕性浮腫、倦怠感、微熱、体重減少
【患者情報】
年齢性別:62歳男性
既往:糖尿病
服薬歴:シタグリプチン(1ヶ月前から血糖コントロールが悪くなり服用中)
アレルギー歴:花粉症
嗜好品:飲酒なし、タバコなし
家族歴:母親が関節リウマチ
【現病歴】
2週間前から朝に両手のこわばり、手を握ろうとすると痛みが出現、その後、両手両足背に指で押すと暫く凹んだ状態になる浮腫が出現した。全身状態としては他に倦怠感、微熱、体重減少がある。今日は一般内科定期受診日なので主治医に相談したところ、後日リウマチ膠原病内科を受診する運びとなった。
【重要な陰性所見】
- 首、肩、股関節、手首などに痛みなし
- 手足に痺れ、レイノー症状なし
- 発疹など明らかな皮膚異常所見なし
今回は前回と同じ処方内容(28日分)の処方せんを持って来局し、現病歴について話してくれた後に「薬の副作用じゃないかと思っている」ことと「服用をやめておいていいか?」と相談された。医師からは副作用についての言及はなかったとのこと。
Q:患者は副作用と思っており、服用に抵抗を示している。どのように対応するのが良いか?
1.今服用している薬は概ね安全な薬だと返答し、自己判断で勝手に薬をやめないように伝える
2.副作用ではなくリウマチの可能性が高いので、薬は服用しておくように伝える
3.添付文書に症状の記載はあるとだけ伝えて、患者自身の体調のことは患者自身が医師と話し合うことが大切なので、自分で医師と話すように伝える
4.添付文書に症状の記載はあるが、頻度は浮腫に関しては2%未満、四肢痛は頻度不明と副作用ではない可能性の方が高いことを説明し、これ以上は薬局では分からないので、どうしても不安であれば医師と話しをするよう促す
5.副作用の可能性を医師に提示し、今後の患者への対応を相談して決める